パリ・ドアノー

日中、陽が射せば随分と暖かく感じるようになってきました。
日暮れどきも少しずつ、でも着実に遅くなってきています。
朝目覚めてカーテンを開けると、以前は真っ暗だった空が最近はすっかり明るくなっている、そんな人も多いかと思います。

こっそりと忍び寄って僕たちをびっくりさせようとする無邪気な子供みたいに、静かにやって来る小さな春の兆しを感じさせてくれるから、2月は嫌いじゃありません。

でも、陽が沈むとまだまだ。
ぽかぽかのこたつやストーブが、湯気で真っ白なお風呂が、あったかいお布団が恋しい季節はまだ後もう少し。

大阪とは言え、夜は凍りつくように冷え込みます。
昼間の暖かさが嘘のように、まるでそのまま永遠に世界が凍りついてしまうかのように。

凍りついてしまった瞬間は、未来と引き替えに永遠の命を手に入れる。

先日京都まで見に行った「ロベール・ドアノー写真展
そこにはカメラマンよって切り取られた奇跡の瞬間がたくさん展示されていました。

時間の流れにあらがう術のない僕たち人間のささやかな反抗。

時の止まったプリントの向こう側には確かに永遠がありました。

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ただしそこはフランス人、さすがパリを撮り続けた人だけあって、エスプリの効いたユーモア溢れる写真の数々からは、そういった刹那的、感傷的な空気は少しも感じません。

むしろ見ていてあったかい幸福な気持ちで満ちてくるのは、前回の記事でも少し紹介したエリオット・アーウィットと似ているのかも。

僕も写真で目指すところはそういう風でありたいと、見つめ直した今日この頃。
本格的な春到来までほんとに後もう少し。