D&DEPARTMENTから友人のファーストアルバム『暖色』がリリースされました。

もうすでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、声楽家の友人がこの度5月2日に D&DEPARTMENT PROJECT よりアルバムをリリースしました。

スッと耳に流れ込んでくる美しい日本語のことばの数々と、あたかもそれに寄り添うような美しいメロディー。そして伸びやかに優しく包み込むテノールの歌声。
まるでずっと昔子どもの頃から聞いていたような、CDを開封して今初めて耳にした気がしないような、郷愁とは違うけれどなんだか懐かしい、そんな日本の歌曲が収められています。

これらの曲は初めからずっとそこにたたずんでいたんじゃないだろうか?
歌も詩もメロディーもずっと昔から、それこそ僕が今まで生きてきたその前から、この声で、この詩で、このメロディーで存在していたんじゃないか?と錯覚してしまうような、そんな美しくも優しい20曲です。

大袈裟と思われるかも知れませんが、いかんせん「歌曲」というものを詳しく知らないが故に抱いた感想かもしれません。
気になったので歌曲についてWikipediaで調べてみました。

歌曲(かきょく)は、クラシック音楽における独唱声楽曲(または小人数の重唱声楽曲)のジャンルの代表的なものである。特に18世紀後半から19世紀初頭にかけて確立し、ロマン派時代に興隆を迎えた。ドイツではリート(LiedあるいはKunstlied。複数形はリーダー)、フランスではメロディまたはシャンソン、イタリアではカンツォーネ、イギリスではアート・ソング、などと呼ぶ。

歌曲 − Wikipedia

歌曲そのものが、クラシック音楽のことなんですね。だから懐かしく感じるのかな?
僕の中では歌曲イコール童謡や唱歌でクラシックとはまた違うイメージがありましたが、童謡や唱歌も歌曲の中に入るようです。

こんな美しい日本語と優しいメロディーのクラシック音楽なら、僕は大好きになりそうです。

そんな『暖色』収録の20曲はD&DEPARTMENTの 試聴ページ でほんの少しですが聞くことができます。
(※ Firefoxではうまく試聴できないようなのでIEやSafariでブラウズしてみてください。)


彼はベスパ繋がりでとても親しくしている友人で、これまでにもクラシックを含む音楽の話などをたくさんして来ました。
クラシックという音楽業界の中で彼が感じている思いや、今後のヴィジョンが端的に表れたテキストがD&DEPARTMENT PROJECT代表のナガオカケンメイさんとの対談の中にありました。
以下引用。

ナガオカ:  大阪店スタッフの結婚パーティーの時に、井澤さんにご披露いただいたのですが、その時に歌の内容について説明をしてから、歌ってくださいましたよね。歌詞は外国語だからわからないけれど、歌の内容を聞いたことで感情移入しやすいというか、頭の中でイメージして引き込まれていく。今までそんな経験なかった。

井澤さん: 『そんなの知ってて当然だ』とこっちの業界が思ってしまっている。でもその認識が甘いんです。僕らが知っていて当たり前の曲でも、一般的にはそうではないことがあるんです。自分たちが思っているよりもクラシックってもっと知られていないし、もっと人気のないジャンルなんだと自覚しないといけない。

 〜 中略 〜

ナガオカ:  今後のヴィジョンは?

井澤さん: 日本の歌を日本の歌らしく歌っていきたいです。僕らの教えられるオペラの発声って外国語がメインですから、母音のとり方とかが日本語じゃなくなるんです。
日本語で上演するオペラって字幕が出ないんですけど、実際は聞くだけでは何を言っているのかわからない。
外国語なら字幕が出るので内容がわかるんだけど、日本語での上演はわからないまま終わっちゃうんですよ。それが嫌だなと。日本語のわかる日本語の歌を歌いたいなあと思って。

テノール歌手 井澤章典さん × D&DEPARTMENT ナガオカケンメイ

今回のファーストアルバムがきっかけで、少しでも多くの人にクラシックを身近に感じて欲しいと友人ながら僕も思います。なんたってこんなに素晴らしいアルバムですもんね。


余談ですが、『暖色』の内ジャケットにある彼の写真は僕が写しました。
D&DEPARTMENT PROJECT内のアーティストプロフィールにも使われています。

左下には「portrait by Satoshi Okuda」と入っています。なんだか不思議な感じがします。
友人として、アルバム制作に少しでも関われたのがとっても嬉しい限りだし誇りでもあります。

5月18日(日)には大阪で、24日には東京で CD発売記念トーク&リサイタル「わかりやすいにほんのうた」 があるのでとっても楽しみです。

興味のある方はぜひ一度生で彼の歌声を聞いてみてください。素晴らしいですよ!



【追記】
このCDが企画されるきっかけとなったD&DEPARTMENTで彼が歌った時の結婚式二次会エントリーがありました。
Griffin’s Weblog 【B面】:D&DEPARTMENT DININGでの友人のウェディング・パーティーに参加してきた




関連リンク:
D&DEPARTMENT PROJECT:「わかりやすい」シリーズ「わかりやすい オペラ」

ナガオカ日記:井澤さん、吉田さん、ありがとう。