ソフトバンクが割賦(分割)支払い方式の端末販売を導入した件について

知らぬ間にソフトバンク界隈で、ある意味特殊な日本のケータイ業界に一石を投じる出来事が起こっていた模様。

最大の特徴は携帯端末を割賦販売するものの,月々の割賦分の支払い金額とほぼ同額をボーダフォンが負担する点。携帯電話を店頭販売する際の割引原資に当たる販売奨励金(インセンティブ)の在り方に一石を投じるサービスといえる。
ITPro:ボーダフォンが携帯電話販売の新たな事業モデルを9月から開始

要は新規加入や機種変更で端末購入する際に、その支払いを割賦(分割)でユーザーが負担すると言う話。ただし、上記引用にあるように負担する金額とほぼ同額をソフトバンクが負担するので、実質ユーザーはプラスマイナス0円で端末を手に入れることが出来る。
じゃ何も問題がないように見えるが、ことはそう簡単ではない。


問題の根本は日本のケータイ端末の破格の安さにある。
シャープや松下や東芝等、端末製造メーカーがやれワンセグだ、やれHDD搭載だと汗水流して開発した最新ケータイが1万〜2万、高くて3万そこいらで手に入ることがそもそも不自然。
分かりやすく例えた場合、某メーカー製造のワンセグチューナー内蔵端末が定価7万円だったとして、店頭での実売が3万円とする(ここではポイント等は考えない)。
店頭に並ぶまでの間の一体どこに4万円も値を下げるコトが可能なのか?これはケータイ・キャリアからのインセンティブ4万円が販売店に流れているからであり、キャリアは購入ユーザーの月々の基本料金から年月をかけてその4万円を回収しているだけである。
この場合、機種変したユーザーがそのインセティブ代金4万円全額を徴収される前にまた機種変すれば一体どうなるか?
キャリアにとってインセンティブ料金が未回収で赤になるのは自明。
今回のソフトバンクが取った事業モデルは、そのインセンティブ未収のリスクを直接ユーザーに負わせたと言うことになる。


極端な話、いきなりインセンティブを廃止して定価7万円のケータイを販売したところで0円ケータイや格安端末に慣れ親しんだユーザーが飛びつくはずもない。そこで、端末割賦(分割)販売と言う巧みな回収モデルの導入に踏み切ったようだ。


最初の2ヶ月は基本使用料無料(新規加入)、もしくは1万円キャッシュバック(新規加入、機種変更)と魅力的な言葉が並ぶが割賦(分割)支払い回数は26ヶ月設定。以下機種変更の場合を想定して考える。

端末が最新機種で定価7万円だとする。
キャッシュバック適用で7万−1万円で6万円の残額が残り、それを26ヶ月で分割して支払うので、6万÷26ヶ月=約2,222円/月。
ただし上でも述べたように基本料金+通話料金にこの端末代金2,222円が上乗せされるが、同額の割引が入るので-2,222円で結局請求書面上ではプラスマイナス0円。(実際は先に述べたようにインセンティブ回収額は基本使用料に元々含まれているので、キャリアはプラスマイナス0円をうたい見た目相殺することが可能になっている。)


しかしここからが肝心で、この26ヶ月の途中で機種変更をする場合、割賦の残額を支払わなければならない。
1年半使って機種変したい場合、残り8ヶ月分の残額(2,222円×8ヶ月=17,776円)を支払う必要が出てくる。
要は今までインセンティブ回収で徴収出来なかった残額を直接ユーザーから回収すると言う方式である。


これは僕のような、毎回最新機種に機種変し、その端末が壊れる直前まで使い続け2〜3年後にまた機種変するユーザーであればなんら問題はない。
問題は1年やそれより短いスパンで機種を変更していたユーザー。毎回結構な残額(2〜3万、へたすりゃ4〜5万)払ってまで機種変するのか??


ソフトバンク(旧vodafone)で言えば「ハッピーボーナス」、auの場合「My割」等*1、MNP(番号ポータビリティ)を前にキャリア変更が出来ないような2年縛りの割引サービスは今までもあった。
だが今回の割賦支払い方式導入は、インセンティブ徴収リスクの回避とは言え、明らかに『端末2年縛り』である。



追記:いずれは他キャリア(au、docomo)も追従するとのネット上の噂。


参考文献:Wikipediaスーパーボーナス
     vodafoneスーパーボーナス

*1:docomoは使ったことないんで分かりません。